保険と自費、詰め物の違い
【保険】詰め物の素材
健康保険が適応される詰め物は、使える素材が厚生労働省により定められています。
現在の日本で保険が使える主なものは、金銀パラジウム合金とコンポジットレジンです。
金銀パラジウム合金は、銀に金やパラジウムや銅などの金属を混ぜ、歯科用として使いやすく改良した金属素材です。見た目は銀色なので、一般的に「銀歯」と呼ばれるものの多くはこの素材です。因みに、こちらの素材は世界中でも日本でしか採用されていません。
また、銀歯で「ニッケルクロム合金」という金属も保険が適応されますが、金銀パラジウム合金に比べデメリットが多く、発がん性物質を含んでいるため歯科金属としては適していません。
コンポジットレジンは、歯科用の白いプラスチック素材の詰め物です。熱や化学処理で簡単に柔らかくなり、固まるとしっかりとした素材になります。見た目が白く、歯冠色に近しい色調ですので目立たないのが特徴です。
最近では、条件付きで「CAD/CAM(キャドキャム)冠」という、レジン(プラスチック)とセラミック(陶器)を混ぜたハイブリットレジン素材や、海外で広く認知されている「エンドクラウン」という部分被覆冠など新しい選択肢がどんどん増えています。
保険の詰め物のメリット
健康保険が適応されるので、自己負担額が減って比較的安くすませることができます。金銀パラジウム合金はとても強度が高いので、強い力のかかる部位の治療も行えます。
保険の詰め物のデメリット
金銀パラジウム合金は、銀色なので治療跡が目立ちます。また、長い年数使うと銀はさびて溶け出してしまう可能性があるので、金属アレルギーや歯肉の黒ずみの原因になったり、隙間から銀歯の下に汚れが入って、二次むし歯を引き起こしたりすることがあります。
コンポジットレジンは強度の必要な部分には使いづらく、着色がしやすいので数年で詰めかえなければいけないことがあります。また、歯に似た色ではありますが、自然歯のような光沢感はありませんので、より自然な美しさを求める方は自費診療でのセラミック系がよいかもしれません。
【自費】詰め物の素材
保険が効かない自費診療では、様々な素材を選ぶことができますが、白い陶器やガラスのようなセラミック素材が主で、セラミックの中にもいくつかの種類があります。また、セラミックとプラスチックを混ぜたハイブリッド素材、金属の中では腐食せず歯になじみやすいゴールドなどもあります。
自費の詰め物のメリット
自分の希望に合わせた治療が可能になります。セラミックは、種類によって見た目や強度に違いがありますが、どれも天然の歯に近い外観へ修復ができ、プラスチックのように着色をしません。また、汚れや臭いが付着しにくく、金属アレルギーや腐食の心配もありませんので、長期間にわたって使用することができます。
ゴールドは、加工がしやすいので歯となじみが良く、硬さが適度で周囲の歯を傷めにくい特徴があります。また、劣化をしない安定性もメリットです。
自費の詰め物のデメリット
保険適応が無く、元々高価な素材が多いので費用の負担が大きくなります。セラミックは割れる可能性があり、割れた場合は丸ごと取りかえる必要があります。
また、治療の際にも、比較的多めに歯を削らないといけない傾向があり、素材によっては硬すぎて、周囲の歯を痛めるケースもあります。
セラミック治療は、使用されるセラミックの材質と技工士の技術で差が出やすいとも言われていますので、これらの要因を理解し、自分に合った治療の選択をすることが大切です。
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