あなたやあなたのご家庭のどなたかは、多かれ少なかれ歯茎の病気(歯周病)にかかっていることでしょう。でもご安心ください。大人の大半が加齢現象のひとつとしてある程度歯周病にかかりますが、予防する方法はいくつかあります。このページにはあなたが生涯その笑顔を保ち続けられるように歯茎の健康に関する最新の情報を載せてあります。

歯周病とは

歯周病はプラークという歯の表面に付着する無色の膜(バイオフィルム)によって引き起こされます。プラークは細菌の巣になった時に(普通24時間くらいかかります)最も害をもたらします。毎日取り除かれれば、プラークは口の中で食べ物の中の糖分やでんぷん質と混ざって、酸などの副産物を作り出します。

このプラークによって作られた副産物が歯茎を刺激し、赤く腫れさせ、痛みを起こす原因となるのです。また歯茎は出血しやすくなります。このプラークは取り除かなければしだいに固くなり歯のまわりに歯石を形成します。やがてプラークからの刺激物によって、歯茎を歯に付着させている組織が破壊されはじめます。歯茎は少しずつ歯からはがれ、歯と歯茎の間には歯周ポケットとよばれる隙間ができます。プラークがこの歯周ポケットにたまり、しだいに歯を支えている骨が破壊されてしまいます。

歯周病は、痛みもなくゆっくり進行するのでほとんどの人は歯周病にかかっていることに気がつきません。早期に発見して治療を行えば、歯を失わずにすみます。

歯周病の原因となる他の理由

プラークの他に歯周病の原因となるいくつかの要因には以下のようなものが含まれます。

  1. 物理的または科学的な刺激
    歯の間にはさまった食べ物、たばこ、過剰な飲酒、デンタルフロスや楊枝の間違った使用法など。
  2. 歯や歯茎に異常な負担をかけるような口腔内の状況あるいは癖
    歯並びが悪い、ブリッジや義歯が合わない、詰めた物が合わない、また歯ぎしりや噛み締め、氷をかみ砕く等の癖がある。
  3. 片寄った栄養
    栄養状態と感染を防ぐ生体の防御機構の間に密接な関係がある事はすでに証明ずみです。歯周病はビタミンCの欠乏と関係があるとされています。
  4. 妊娠
    ホルモンの分泌量の増加は一般的に❝妊娠性歯肉炎❞とよばれる症状を起こすことがあります。
  5. 病気
    糖尿病、尿毒症、肝炎、貧血、または白血病などは歯茎の健康に影響します。
  6. 内服薬
    経口避妊薬、抗てんかん薬、ステロイド、あるいは抗ガン剤なども歯茎に影響を与えます。

どのような症状がみられるのでしょうか?

  • 歯を磨くと歯茎から血が出る。
  • 歯茎が赤い、腫れている、痛い、等の症状がある。
  • 歯茎が下がって、歯の根が見えるようになった。
  • 指で歯茎を押すと歯茎と歯の間から膿が出る。
  • 歯がぐらついてきたり、位置が変わって前歯が広がってきた。
  • 咬み合わせが変わってきた。
  • 入れ歯があわなくなってきた。
  • 口臭があったり、慢性的に不快な味がする。

現在の歯科医療技術の進歩により、以前は抜歯した歯もかなり残せるようになってきました。

診断

歯周病の診断を確定するには、お口の中を詳細に検査し、口腔内のレントゲン写真を撮影する必要があります。大人には少なくとも年2回の入念なスケーリング(専門家による歯の清掃)をお勧めしますが、そのとき特別な器具を使って、歯周ポケットとよばれる歯と歯茎の間の溝の深さを測ります。歯周ポケットの深さ、お口の中の状態、そしてレントゲン写真によって歯周病の正確な進行程度を判断するのです。

治療

歯周病に必要な治療は、症状がどの程度進行しているかによって決まります。一人一人に合わせた治療法には次のようなものがあります。

スケーリングとルートプレーニング

歯についた歯石やプラークを取り除くこと、またルートプレーニングは歯茎が再び付着できるように歯の根の表面をなめらかにすることです。

掻把(そうは)

歯周ポケットの中の組織を一層取り除きます。こうすることによって歯茎の健康状態を回復させます。

歯肉切除術

症状が骨にまで及んでいない場合、歯周ポケットを手術で取り除くことがあります。

歯肉剥離掻把手術

歯石、プラーク、あるいは病気に冒された組織を根から取り除くため、一時的に歯茎を剥がし、またもとに戻します。場合によっては、歯肉剥離掻把手術と同時に歯のまわりの骨の形を整えたり、一部取り除いたりといった骨の手術を行うことがあります。

多くの人が歯周病の大きな要因を持っていますが、歯周病を予防できる方法はいくつかあり、また早いうちに見つければ治ります。

院長

今日では医療技術の進歩によりほとんどの歯を残すことができるようになってきましたが、歯茎の健康は患者さん次第です。歯周病の予防と対策には次のことに注意しましょう。

  • 毎日しっかりデンタルフロスと歯ブラシで歯をきれいに清掃する。
  • バランスの取れた栄養のある食事をし、糖分の多い間食はさける。
  • 歯周病のサインに注意する。
  • 年に最低2回は歯科医院でクリーニングと口腔検査を受ける。